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お知らせ

2007年2月6日


「Eye Doctor」システムがもたらす次世代シリアル・データ解析
レクロイ - 次世代のシリアル・データ解析を実現するコシミュレーション・システム 「Eye Doctor」をリリース

レクロイ・ジャパン株式会社(本社:東京都渋谷区笹塚、代表取締役社長:Kevin Fitzgerald)は、デジタル・オシロスコープベースのコシミュレーション・システム「Eye Doctor」ソフトウエアをリリースしました。この製品は、さらなるシリアル転送・レイトの高速化により、レシーバでイコライザを利用しなければならないシステムにおけるシリアル・データを解析する際に特に威力を発揮します。「Eye Doctor」は、レクロイのシリアル・データ・アナライザSDA上で実測とシミュレーションが相互運用できるように設計されており、イコライザを利用するシリアル・データ・システム上で測定/解析が可能な高機能解析ソフトウエアです。

【開発背景】

シリアル伝送のさらなる高速化に対して、インターコネクト(ケーブル、コネクタ、プリント基板など)での信号劣化が大きな障壁となっています。インターコネクトの技術革新の速度は、シリアル伝送の高速化に比べてかなり緩やかなもので、期待される性能との乖離が大きくなっています。2.5Gbps程度の速度までであれば、プリエンファシスなどの技術を利用し補正をかけることで要望を満たすことができていましたが、5Gbps以上の速度では、新たな手法の採用が必要となっていました。このイコライザと呼ばれる技術は、レシーバーで信号のデコードをする前に劣化した信号を電気的に補正を行うことを意味します。ところが2.5Gbps程度の速度まで行われてきた性能評価、相互接続性に用いられてきた計測手法では、イコライザの導入によって十分機能しないことが問題化していました。つまり、イコライザの特性まで含めたシステム全体の性能評価を行う新たな手法の出現が待たれていたのです。

ここで、レクロイはトランスミッタ、インターコネクト、イコライザ、レシーバによるシステムを総合的に解析し、精度やその試験の効率に大きく寄与するツール開発の目指しました。

【製品概要】

Eye Doctor」はデジタル・オシロスコープの信号捕捉機能と高度なデジタル信号処理(DSP)機能を組み合わせたた最初のシステムで、デジタル・フィルタの合成と伝送路シミュレーションができます。エンジニアは、実際に捕捉したGHz超の信号を元にシミュレーションで得られた信号波形を信号の表示し、イコライザ方式の検証、実測波形との比較/検査、信号のモデリングの検証などを行うことができます。

Eye Doctor」では、一般的にチャンネルによって起きる歪みを補正したり取り消すことで、S/N比の向上、アイの開口率あるいは立ち上がり時間の向上、ジッタの低減が実現できます。また、失われた帯域幅を復元する機能や、波形精度を高める機能も搭載しています。このような優れた解析機能が「Eye Doctor」で実現できるのは、主にVirtual ProbingäおよびEqualizer Emulationの2つのユニークな機能によるものです。Virtual Probingはチャンネルによって大きく歪んだ波形を対象とする測定精度を向上させ、Equalizer Emulationは「レシーバーの内側で、外からは見ることのできない点」から測定が行えます。

Virtual Probingでは、実測測定された波形を元にシステム内部の任意ポイントで観測される波形をシミュレートします。信号のフローを直感的なグラフィカルなユーザーインタフェースを使って、イコライザの要素とVirtual Probingの要素を連結する場合は、Processing Web Editorを使用します。Virtual Probingは、実測したプローブの応答やフィクスチャの応答利用して、シグナルインテグリティの測定精度を高める場合に使用できます。

Equalizer Emulationでは、FFE(Feed Forward Equalizer)やDFE(Decision Feedback Equalizer)機能のほか、クロック・リカバリ機能などが利用できます。このエミュレーションでは実際のレシーバ内部で観察されるはずの信号を仮想的に解析しますが、これは従来のプローブでは実現できませんでした。イコライザの出力信号を使ってSDAの強力なジッタ/信号解析ソフトウェアにより、ビット・エラー率(BER)、トータル・ジッタ、アイの開口率などを評価することが可能です。こうして、エンジニアは実際のシステムの性能マージンを詳細に解析できます。

【問題の解決】

コシミュレーションによって、下記の3つの問題を全て解決すると考えています。

問題1: イコライザはFFE(Feed Forward Equalizer)やDFE(Decision Feedback Equalizer)などの形式のものが使われますが、基本的にはレシーバー・チップの上に作られるため、イコライザによって品質改善された信号を外部から見ることはできません。実測では、インターコネクトによって信号劣化した信号しか見ることができず、しかも5Gbps以上の速度ではその劣化も非常に深刻なものとなっているため、実測した信号の評価ではシステムとしての性能を正しく反映しません。システム全体の性能評価を行うためには、イコライザの効果を正しく反映する必要があります。

問題2: 相互接続性を評価するためには、インターコネクトでの信号劣化を規定しワーストケースを設けることが期待されますが、実際の物を作るには技術的に大きな課題があります。ワーストケースを想定して作られたものが、本当にワーストケースを実現しているのか。またワーストケースを実現していたとしても、同じ品質のワーストケース・サンプルを大量に用意することができるのかという課題。

問題3:上記2つの課題克服にはシミュレーションが有効なように思われますが、全てをシミュレーションで行なおうとしたときに、シミュレーションのモデルが実際の回路やインターコネクトを十分な精度で表現しきれているのか、あるいは十分表現した時に、処理速度が実用的な範囲に収まるのかという課題。

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【対応機種】

EYEDR Eye Doctor(バーチャル・プローブとイコライザー・エミュレーション)
EYEDR-VP Eye Doctor(バーチャル・プローブのみ)
EYEDR-EQ Eye Doctor(イコライザー・エミュレーションのみ)
RK-EYEDR 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctor(バーチャル・プローブとイコライザー・エミュレーション)を追加するためのアップグレード・キット
RK-EYEDR-VP 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctorバーチャル・プローブのみを追加するためのアップグレード・キット
RK-EYEDR-EQ 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctorイコライザー・エミュレーションのみを追加するためのアップグレード・キット

【お問い合わせ】

レクロイ・ジャパン株式会社
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚2-1-6
プロダクト・マーケティング(担当:辻)
Tel: 03-3376-9400 (代表)
Email: [email protected]
http://www.lecroy.com/japan

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