Digital Scopes

お知らせ

2011年5月10日


モジュール型 デジタル・オシロスコープ・システム
LabMaster 9Zi-Aシリーズの発売を開始

レクロイは、リアルタイム・オシロスコープの製品ラインアップに、新たにモジュール型デジタル・オシロスコープ・システムLabMaster 9Zi-Aシリーズを加えました。これはアナログ帯域45GHz、サンプリング速度120GS/s、20ch同時入力可能で、波形メモリは最高で入力チャンネル当り768Mポイントとしています。

LabMaster 9Zi-Aシリーズは、広帯域のモジュール型オシロスコープというアーキテクチャを採用し、弊社のオシロスコープの製品ラインアップで、最上位に位置する製品です。また近日中に更に帯域を拡張した製品の開発に着手し、市場へ投入する計画もあります。このような超広帯域オシロスコープを必要とされるお客様の多くは、波形の立ち上がり特性やアップグレード・パス、複数の入力チャンネルなど多彩な使用方法に関心があります。これらの要求に柔軟に対応できるのがLabMaster 9Zi-Aシリーズです。

LabMaster 9Zi-Aシリーズのシステム・アーキテクチャは、信号捕捉機能、波形表示機能、演算機能をそれぞれ独立させるものです。LabMaster 9Ziのマスタ・ユニットは波形表示機能と1つの信号捕捉機能及び制御機能を有しています。スレーブ・ユニットは、1つの信号捕捉機能を有しています。演算機能を持つユニットは、サーバクラスのCPU(中央演算処理ユニット)を使用し、強力な演算機能を持たせてマスタ・ユニット、スレーブ・ユニットが捕捉する膨大な波形データを素早く処理します。

LabMaster 9Zi-Aシリーズは特許出願中のChannelSync™により、マスタ・ユニットとスレーブ・ユニットで捕捉された波形データは、完全に同期した状態を得られています。従って複数ユニットでの同時サンプリングの同期性はかつてないほどに保たれています。LabMaster 9Ziはこれまでのベンチトップ型のオシロスコープ同様の使い勝手を維持しながら、柔軟なアップグレード・パスを備え、優れた経済性を保有しています。

LabMaster 9Zi-Aシリーズのモジュール型構成は、アナログ帯域の拡張、入力チャンネル数の増設を可能にします。導入当初に必要な最小限の構成でありながら、後日入力チャンネルを増やす必要が生じたとしてもスレーブ・ユニットを追加することで対応が可能です。またアナログ帯域の拡張が必要になった場合には、お使いのスレーブ・ユニットのアップグレードをするか、或いはモジュールのインタリーブ動作で対応が可能です。レクロイは、LabMaster 9Zi-Aシリーズがさらに業界で最も広帯域で且つ多くの入力チャンネルを提供できることを2011年中に発表する予定です。

LabMaster 9Zi-Aシリーズは、高速データ通信向けアプリケーション、28〜32Gb/sのSERDES開発、マルチレーン・シリアルデータ通信(40/100GbE、PCIe Gen3)、光位相変調通信アプリケーションなどの測定を実現するのに最適なオシロスコープ・システムです。これらのアプリケーションは、クラウド・コンピューティングや多様なモバイル・ターミナルの普及やストリーミング・ビデオなど、かつてないほどに増大するネットワーク・トラフィックのバックボーンを支える技術として必要不可欠なものになりつつあります。LabMaster 9Zi-Aシリーズは、一方で航空宇宙・防衛の分野においても理想的なアナログ帯域と入力チャンネルを同時に提供可能です。

図1 アナログ帯域45GHz構成の場合の入力チャンネル数の概念図

【モジュール構成による柔軟且つ完璧なアップグレード】

LabMaster9Zi-Aシリーズは、マスタ・ユニットとスレーブ・ユニットの捕捉機能と演算機能ユニットからなるモジュール型オシロスコープ・システムです。マスタ・ユニット及びスレーブ・ユニットはアナログ帯域幅のバリエーションとして13GHz、16GHz、20GHz、30GHz及び45GHzがあります。それぞれは最高でチャンネル当り256Mポイントの波形メモリを持つことができます。これは20GHz帯域までの波形メモリ長であり、30GHz帯域であれば512Mポイント、45GHz帯域であれば768Mポイントになります。1つのマスタ・ユニットで最大で同時に4つのスレーブ・ユニットを制御することができます。これにより最大構成(マスタ・ユニット1つとスレーブ・ユニット4つの構成)の場合、20GHz帯域で同時に20チャンネル(4チャンネル×5ユニット)、30GHz帯域で同時に10チャンネル、45GHz帯域で同時に5チャンネルの入力が可能になります。

更に信号をオシロスコープ・システムに入力する場合、差動プローブや差動増幅器を使う代わりにケーブルを使った場合、S/N比を少なくとも3dB改善できるばかりでなく、より信頼度の高い信号忠実度を実現し、測定システムとしての信頼性を高めることができます。

30GHz帯域或いは45GHz帯域の捕捉機能は、13GHzから20GHzの機能・構成も含んでいます。これは広帯域でありながら微弱な信号のジッタ計測やシリアル・データ通信の差動間スキュー計測など様々な計測の場面に適用できる柔軟性の高い機能といえます。LabMaster9Zi-Aは、インテル社のXeon™ X5660級プロセッサを演算ユニットに使用しています。これは1コア当り2.8GHzのクロック信号で動作する6コア構成のCPUで、実効クロックは33.6GHzに相当し、併せて24GBのRAM(オプションで192GBまで拡張可能)を使用しています。この強力なCPUにレクロイの第二世代になる波形処理アーキテクチャ X-Stream IIを組合せることで膨大な波形データを素早く処理・表示することが可能になりました。全てのシステムはあたかも1台のオシロスコープであるかのように、シンプル且つ素早くその機能を発揮します。全ての波形は15インチの内蔵ディスプレイに表示されます。或いはユーザが持つ最高でWXGAのディスプレイに出力することも可能です。LabMaster 9Zi-Aシリーズは測定現場でかつて見たことのない洗練された性能を発揮するオシロスコープ・システムです。

【ChannelSyncアーキテクチャによる正確な同期】

LabMaster 9Zi-Aシリーズは、20チャンネルの入力動作においてもChannelSyncにより、あたかも1台のオシロスコープであるかのように完全に同期した動作することが可能になりました。マスタ・ユニットで作られる10GHzのクロック信号は、全てのスレーブ・ユニットに分配されます。これは従来リファレンス信号として使われてきた10MHzよりも1,000倍も速いため、ユニット間の同期もこれまで以上に精密に得ることができました。これによりチャンネル間スキューは驚くほど低く275fs(rms)を実現しています。マスタ・ユニットは接続されたスレーブ・ユニットを自動的に認識し、ソフトウェアが自動的に全ての捕捉機能のスキューを補正します。これにより最大20チャンネル入力のオシロスコープでありながら、ワンボックス型のオシロスコープと同じ操作をすることが出来ます。

【実証済の捕捉機能】

SiGeによる捕捉システムは、現存する他の半導体プロセスによる広帯域性能を確保するだけでなく、レクロイ独自のDBI(Digital Bandwidth Interleaving)技術と相まって、更なる広帯域へのアップグレード・パスを提供することを示しています。信号忠実度は極めて高く、特筆できる立ち上がり特性、ステップ応答性、そして極めて低いジッタノイズフロワを実現することができました。動作周波数帯域全域で高い垂直有効分解能(ENOB)を確保し、ノイズを抑えた波形表示が可能になりました。LabMaster 9Zi-AシリーズはWaveMaster8Zi-Aシリーズで実績のある数々のハードウェア及びソフトウェアオプションを搭載可能です。

【LabMaster9Zi-Aによる28Gb/sを超える高速のSERDES開発】

高速のSERDESの開発と評価は、今後増大するトラフィックを安定的に運用するデータ通信のアプリケーション領域において必要不可欠です。従来のリアルタイム・オシロスコープは2チャンネル入力でアナログ帯域が30GHzと言うもので、開発者からはより広帯域なオシロスコープの登場が待たれていました。サンプリングスコープは広帯域化の一つの回答でしたが、その性質上波形データを完全に捕捉することができず、ジッタ解析などに限界がありました。LabMaster 9Zi-Aシリーズは、アナログ帯域45GHz、2チャンネル入力構成とすることが出来るので、シリアル伝送路の差動信号をそれぞれ入力することができます。この場合の構成は、アナログ帯域30GHz、4チャンネルの入力構成とすることが出来ますし、アナログ帯域20GHz動作にすれば、8チャンネル入力構成とすることも出来るため、複数のレーン(通信路)を同時に観測することができます。

【28GBaudを超える光位相変調解析に最適な入力チャンネル構成とアナログ帯域】

クラウドコンピュータに代表される大規模なネットワークは28GBaud(112Gb/s)のDP-QPSK方式の位相変調による伝送方式などを必要としますが、これらは開発と同時進行的に通信速度が増していきます。28GBaudのテスト環境は、アナログ帯域20GHz、4チャンネル同時入力のWaveMaster820Zi-Aが最適なソリューションと言えますが、LabMaster 9Zi-Aシリーズなら入力チャンネル数を犠牲にすることなく、アナログ帯域30GHz、4チャンネル同時入力が可能なシステムを得ることができます。どちらのシステムでも外付けの光信号を電気信号に変換する受信器とソフトウェアと付加することで最適なソリューションとして活用することができます。
28GBaud以上のアプリケーションであっても、LabMaster 9Zi-Aシリーズならアナログ帯域45GHzで4チャンネル同時入力の構成が可能なため、より高速のシンボルレートの研究・開発においても十分に適用可能です。事実レクロイの45GHzシステムは80GBaudのDP-QPSK方式の位相変調の開発に使用されています。

【大規模マルチレーンシリアル伝送のテストにも適応】

シリアル伝送の通信速度は今後、更に高速化が進むと同時に、転送速度を達成するためにシリアル伝送の「パラレル化」が図られることは明白な事実です。40/100GbEは、10Gb/sの伝送線を10本束ねる形で実現されるか、28Gb/sの伝送線を4本束ねる形で実現されています。PCIExpressは8Gb/sの伝送線を最大で16本束ねることが知られています。これらはまた、それぞれが差動信号により伝送されます。

LabMaster 9Zi-Aシリーズは、これまで述べたとおりアナログ帯域20GHzで、20チャンネル同時入力が可能です。アナログ帯域30GHzであっても10チャンネルの同時入力が可能です。このような多チャンネル同時入力が可能であるということは、例えば伝送路間のスキューの観測やクロストーク(相互干渉)の観測に役立ちます。つまり送信されるデータが他の全ての伝送路に対してクロストークの発生源になる可能性があり、それを捉えることが可能になります。伝送路間のスキュー測定も全ての伝送路が同時に観測できるため、容易に確認することができます。さらに差動伝送路を測定する場合において、2つの入力チャンネルを使用し、差分を使った測定をする方が、差動プローブや差動増幅器を使用する場合よりもコストメリットがあるばかりか、信号忠実度がより優れた状態で測定が可能になります。

LabMaster 9Zi-Aシリーズ
マスタ・ユニット*
型番 仕様
LabMaster 913MZi-A 13 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 916MZi-A 16 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 920MZi-A 20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 930MZi-A 30 GHz, 80 GS/s, 2 Ch, 40 Mポイント/Ch
(20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch)
LabMaster 945MZi-A 45 GHz, 120 GS/s, 1 Ch, 60 Mポイント/Ch
(30 GHz, 80 GS/s, 2 Ch, 40 Mポイント/Ch;
20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch)

*全機種に標準装備:15.3インチWXGAカラー・ディスプレイ、50Ω, 1MΩ入力

スレーブ・ユニット
型番 仕様
LabMaster 913SZi-A 13 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 916SZi-A 16 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 920SZi-A 20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch
LabMaster 930SZi-A 30 GHz, 80 GS/s, 2 Ch, 40 Mポイント/Ch
(20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch)
Labmaster 945SZi-A 45 GHz, 120 GS/s, 1 Ch, 60 Mポイント/Ch
(30 GHz, 80 GS/s, 2 Ch, 40 Mポイント/Ch;
20 GHz, 40 GS/s, 4 Ch, 20 Mポイント/Ch)

LabMaster 9Zi-Aシリーズ製品ページ

LabMaster9Zi-Aシリーズ 詳細カタログPDF(英文)

【会社概要】

LeCroy Corporation は、シリアル・データ通信の解析分野において最先端の高度な測定・解析が行える計測機器を製造、販売しています。レクロイが提供する高性能のデジタル・オシロスコープ、シリアル・データ・アナライザ、プロトコル・アナライザは、コンピュータや半導体、データ・ストレージ機器、自動車や産業用機器、軍事産業、航空宇宙産業などの設計技術者に幅広く利用されています。LeCroy Corporationは45年間にわたり、革新的なテクノロジによって、特に波形解析において最高の評価を得てきました。高速信号の捕捉・計測・表示を行う波形解析は、今日の情報・通信テクノロジを促進するために必要不可欠となっており、LeCroy Corporationの持つ技術が大きく貢献できると確信しています。LeCroy Corporationはニューヨーク州チェストナットリッジに本社を置き、NASDAQに上場しています。詳細については、ウェブサイト(http://www.lecroy.com)をご参照ください。
なお、仕様は予告なしに変更されることがあります。

【この発表に関するお問い合わせ】

レクロイ・ジャパン株式会社
〒183-0006
東京都府中市緑町3-11-5
マーケティング・センター 塩田豊文
Tel: 042-402-9400(代表) Fax: 042-402-9586
Email: [email protected]

 

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