コシミュレーション・システムEye Doctor | テレダイン・レクロイ
Digital Scopes

Eye Doctor™
コシミュレーション・システム

機能と特長

  • イコライザ付きレシーバ信号の信号整合性を詳細に解析
  • 実測信号と、実測またはモデリングされたネットワーク特性を使ったリアルタイムのコシミュレーションを実行
  • イコライザを利用するシステム上で性能マージンを評価
  • プローブとフィクスチャの特性の排除
  • 理想の終端を用いたチャンネル測定
  • DFEイコライザとFFEイコライザの任意の組み合わせをエミュレーション
  • イコライザ係数の自動最適化
  • FFE係数とDFE係数の直接入力

Virtual Probing™ とイコライザ・エミュレーションによるSDA機能の強化 —イコライザを利用するシステム上でシリアル・データ信号の測定が可能

システムのシンボル・レートが上がると、測定上の問題も増加します。また、レシーバのイコライズを用いると、従来のジッタ/ノイズ測定では相互運用性を的確に評価できなくなります。 Eye Doctor™は測定上のこれらの問題に対処するオシロスコープDSOベースの計測/コシミュレーション・システムであり、相互運用性/規格準拠性テスト機能を飛躍的に向上させます。 Eye Doctorでは、各種ツールを用いて一般的な波形歪みを補正したり取り消すことで、S/N比の向上、アイの開口、立ち上がり時間の向上、ジッタの低減を実現できます。また、失われた帯域幅を復元する機能や波形忠実度を高める機能も搭載しています。

イコライザを利用する システムの測定

スルーホール、コネクタ、ビア、パッケージ・ピンなどでインピーダンスの不整合があると、高ビット・レート信号の高周波成分に歪みが生じます。その結果、多くの場合、開口が不十分な(時によっては完全に閉じてしまった)アイパターンが生成されます。従来の方式による相互運用性テストでは、信号のアイパターンとジッタによって誤りのない動作が保証されるように設計された適合性マスクに対して、チャンネルの特性と伝送信号の品質を測定していました。イコライザを用いるシステムでは、チャンネル、トランスミッタ(送信機)、レシーバ(受信機)が密接に連携し、信号が正しくイコライズされるかどうかに基づいて相互運用性が評価されます。ここで必要になるのは、これらのシステムの相互運用性を定量的に測定する方法です。

現在のシリアル・データ・システムでは、適合性測定を通じて相互運用性を保証します。イコライザを採用する次世代のシリアル・データ・システムでは、相互運用性を評価するための新しい方式が必要になります。アイパターンが閉じた状態の信号においては、従来の適合性測定は不十分になります。

Eye Doctor™

Eye Doctorは、Virtual Probing™およびイコライザ付きレシーバ・エミュレーションという2つの部品から構成されています。Virtual Probingは歪んだ波形に対して実施される測定の精度を向上させ、イコライザ付きレシーバ・エミュレーションは受信側の観点から測定を実施できるようにします。 レシーバ内部の信号が概念的に表示されるため、実際のシステム性能に即した正確なトータル・ジッタとビット・エラー・レート(BER)の測定が行えます。

Virtual Probing™

プローブとフィクスチャは完全ではなく、これらを回路に接続すると、オシロスコープに表示される波形とDUTに対する負荷の両方が影響を受けます。Virtual Probing(仮想プローブ機能)は強力な信号処理ツールであり、ユーザはシステム内部の任意の位置で信号を測定して、他の任意の位置での応答波形を表示することができます。この機能では、システム内部の様々なコンポーネントのSパラメータ・ファイルを使用し、目的の信号波形と実測波形に関連付けるフィルタを生成します。例えば、最も純粋な信号が得られる位置(通常、トランスミッタ)で信号測定を実施し、チャンネルの終端(バックプレーンの末端)における品質劣化した信号を得るようなシミュレーションを実行できるため、プローブと機器のノイズを測定結果から排除することができます。

生成されるフィルタでは、差動モードからコモン・モード、近端/遠端クロストークなど、システムの様々なエレメントとトランスミッタ信号間のあらゆる相互作用が考慮されます。

Virtual Probingを使用すると、測定結果からプローブとフィクスチャの特性を取り除くことができるため、信号の整合性測定精度が高まります。

イコライザ・エミュレーション

Eye Doctorにはイコライザ付きレシーバ・エミュレーションが組み込まれています。イコライザ付きレシーバ・エミュレーションではFFE(Feed Forward Equalization)イコライザとDFE(Decision Feedback Equalization)イコライザを利用できるほか、クロック・リカバリとデシジョン・スレッショールドの変更が行えます。このエミュレーション機能による仮想的なレシーバでは、検出器にある実際のレシーバ内部で観察される信号が解析されますが、これは従来のプローブでは実現できなかったことです。イコライズされた信号はSDAの強力なジッタ/信号解析ソフトウェアを使用して評価されるため、ビット・エラー率(BER)、トータル・ジッタ、アイの開口などを測定することが可能です。そのため、性能マージンを詳細に解析できます。このレシーバ・エミュレーションは仮想的なものであるため、性能マージンは測定システムや受信側ノイズとは独立に測定されます。

イコライザ・エミュレーションでは、レシーバ内部の信号状態をシミュレーションできます。ユーザが選択する等化方式(FFEまたはDFE)に応じて、FFEまたはDFEの最適な重み付け係数とタップの数が自動的に決定されます。係数を直接入力することもできます。イコライズされた信号については、SDAのすべてのジッタ解析機能がサポートされます。

Virtual Probingでは、測定されたシングルショットの波形を用いてシステム内部の任意ポイントにおける信号波形をシミュレートします。ここで示す仮想プローブは、バックプレーンによってアイパターンが閉じてしまった信号のシミュレーションを行ったものです。バックプレーンによって生じる歪みで閉じてしまったアイパターンはイコライザによって修正され、アイパターンは開きます。Processing Web Editorを使用すると、直感的な信号フローグラフの中でイコライザの部品とVirtual Probingの部品を接続することができます。

イコライザ・エミュレーション

  • 最高20タップの線形タップ方式遅延ライン・イコライザ(トランスバース・フィルタ)
  • ループ帯域幅を変更できるクロック・リカバリ用PLL
  • Erasure DFE(デシジョン・フィードバック・イコライザ)を含む最高20タップのDFE
  • クロック・スキュー調整
  • イコライズされた波形(スライサ入力)、データ波形(スライサ出力)、再生したクロック用の各出力
  • ユーザが定義するイコライザ最適化のための誤差波形出力
  • 組み込みのLMSアルゴリズムを使用した自動最適化調整
  • 複数レベルの検出スレッショールドにより、デュオバイナリ/マルチレベルの信号システムをサポート

Virtual Probing

  • システムの帯域制限内でプローブ負荷効果を補正した波形を生成
  • 最大8個の入力で作動し、最大8個の出力を生成する線形フィルタを作成
  • Spiceに類似した簡単なテキストファイルによるシステム記述
  • Touchstone形式のSパラメータ・ファイル・ネットワーク機器記述をインポート可能
  • 簡単なデバイス記述を組み込み済み − 例えば、理想ティー、パワースプリッタ、オープン、ショート、集中定数素子(抵抗器、コンデンサ、インダクタなど)

対応機種:

EYEDR Eye Doctor(バーチャル・プローブとイコライザー・エミュレーション)
EYEDR-VP Eye Doctor(バーチャル・プローブのみ)
EYEDR-EQ Eye Doctor(イコライザー・エミュレーションのみ)
RK-EYEDR 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctor(バーチャル・プローブとイコライザー・エミュレーション)を追加するためのアップグレード・キット
RK-EYEDR-VP 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctorバーチャル・プローブのみを追加するためのアップグレード・キット
RK-EYEDR-EQ 既存のレクロイSDAシリーズ、WaveExpertシリーズに Eye Doctorイコライザー・エミュレーションのみを追加するためのアップグレード・キット

 
関連資料
Eye Doctor コシミュレーション・システム
(2007年2月発行 LJDN-CT-GE-0317-0001)


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