Fibre Channelの概要
アーキテクチャ
機能・特長およびメリット
プロトコルのロードマップ
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Fibre Channel 物理層解析

Fibre Channelの概要

Fibre Channelは、特定のデバイスを通じて特定の速度でデータを転送するために設計されたネットワーキング規格です。当初、Fibre Channelは主にサーバーをストレージ・デバイス(RAIDアレイやテープ・バックアップ機器など)に接続するために使用されていました。最近は、様々なストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)に最適なアーキテクチャとしてFibre Channelが使用されるような展開がみられます。Fibre Channelは卓越した信頼性、拡張性、柔軟性を備えているため、SAN用のアーキテクチャとして理想的であると言えます。Fibre Channelには、通常の操作を中断しないでストレージ機器を追加する機能、メイン・ネットワークをロードしないで複数のバックアップ・スキームを使用する機能、複数のディスクにわたる膨大なデータ集合を管理する機能などがあります。 Fibre Channelはデータの転送やストレージに使用される高速(100〜800 Mbps)メディアであり、ホストとデバイス間で双方向の論理的なポイント・ツー・ポイント接続を提供します。Fibre Channelは本質的には光ファイバー・ケーブル上で生成されるシリアル・データ・チャンネルであるため、SCSIインタフェースやATAインタフェースよりもずっと長距離のデータ転送がサポートされます。 Fibre Channelは銅製ケーブルまたは光ファイバー・ケーブルと一緒に使用できるように設計されています。銅製ケーブルは短距離のデータ転送のみに使用されますが、電話線や同軸ケーブルなど、多様な種類の銅線を使用することができます。光ファイバー・ケーブルを使用する場合は、速度の低下を最小限に抑えながら約6マイルの距離のデータ転送を実現できます。Fibre Channelのような専用チャンネル・ベースの通信規格を採用するもう1つのメリットは、ネットワーク・ベースのリンクよりも広範囲の帯域幅を利用できることです。

アーキテクチャ

複数のデバイス間でデータを転送するための2つの主要な方式は、チャンネルとネットワークです。Fibre Channelでは、パケットの代わりにチャンネルとフレームを使用してデータを転送します。各フレームのサイズは約2KBであり、そのうち1.5%がヘッダー情報です。チャンネルでは、交換方式または直接的なポイント・ツー・ポイント接続を通じてデータが転送されます。データ転送が完了するまで、送信元デバイスと宛先デバイス間に固定的な接続が確立されます。 Fibre Channelシステム上では、スイッチ、ハブ、ブリッジなどの「相互接続コンポーネント」を通じて接続が確立されます。Fibre Channelには複数の異なる相互接続コンポーネントを使用する機能があるため、ユーザーのニーズに応じて拡張可能な構成がサポートされます。小規模なFibre Channelネットワークでは、ハブとブリッジを使用し、FC-AL(Fibre Channel Arbitrated Loop)と呼ばれるトポロジで複数のデバイス間を接続できます。Fibre Channelネットワークの規模が大きくなり、ネットワークに対する要求が増大してくれば、スイッチング(交換接続)機構を導入します。スイッチングが導入されたFibre Channelネットワークは「ファブリック」と呼ばれます。 ファブリック・トポロジでは、ファブリック上の2つのポート間で複数のパス(回路)を使用できます。一方、ループ(FC-AL)トポロジでは、同時にアクティブにできる回路は1つに限られます。ループ・トポロジとファブリック・トポロジを混合して、両方の接続特性やパフォーマンスを活かすこともできます。ポイント・ツー・ポイント・トポロジでは2つのポート間のリンクで障害が発生すると、それら2つのポート間の通信が停止します。ポイント・ツー・ポイント方式で接続された他のポート間の通信は続行します。 光ファイバー・ケーブルは信頼性が高いため、ネットワークを通じてデータを伝送するには理想的なメディアです。銅製ケーブルには減衰(信号強度の損失)やノイズといった問題が付き物ですが、光ファイバー・ケーブルではそのような問題が発生しません。また、光ファイバー・ケーブルではクロストークが発生しないため、銅製ケーブルよりも安全です。Fibre Channelトラフィックは、銅製ケーブル、同軸ケーブル、非シールド・ツイストペア(UTP)ケーブルなど、光ファイバー以外のケーブルでも伝送できます。 サービス・クラス − Fibre Channelテクノロジでは、サービス・クラスに基づいてデバイス間の通信が定義されます。

  • クラス1:2つの通信デバイス間の専用チャンネル。この構成でホストとデバイス間に接続を確立した場合、他のホストはその接続を使用できません。サービス・クラス1を使用するメリットは高速性と信頼性です。
  • クラス2:「コネクションレス」サービス。このサービスはフレーム交換リンクであり、複数のデバイス間のパケット伝送とパケット受信の確認応答が保証されます。
  • クラス3:確認応答のないコネクションレス・サービス。このサービス・クラスはブロードキャストに適しています。この構成では、Fibre Channelファブリックを通じて複数のトラフィックを複数のデバイスに送信できます。
  • クラス4:「インターミックス」(相互混合)。2つの通信デバイス間で専用リンクを確立しますが、クラス2の トラフィックから専用リンクへのアクセスを許可します。この方式は極めて効率的であり、複数のリンクからシステムへの同時アクセスが可能であるため、使用可能な帯域幅が広がります。

Fibre Channelアーキテクチャを図1に示します。この図の各層は、Fibre Channelシステム内部で使用される別々の機能を表します。他の通信規格と同様に、通常、リンク層(FC-2)およびそれ以上の層がプロトコル・レベル解析の主要な対象となります。

図 1 機能・特長およびメリット
データ・ストレージ処理においてストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)は特に新しい概念ではありませんが、大容量のデータを保存する必要のあるユーザーの要求が厳しくなるに伴い、SANの普及度が急速に増しています。SANはホスト・コンピュータやサーバーに対するリンク網を通じて接続されたストレージ機器のグループです。SANの主要なメリットは次のとおりです。

  • ストレージ・リソースのプーリングと共有
  • LANやサーバーに依存しないバックアップ
  • ストレージ・リソースの集中管理
  • データの共有 - 数多くのユーザーのサポート
  • パフォーマンス − 高速、高性能、短い待ち時間
  • 長距離 (>10KM)

プロトコルのロードマップ
 

オリジナルのFC-PH規格では、Fibre Channelリンクの動作速度が133 Mbaud、266 Mbaud、531 Mbaud、1.062 Gbaudと定義されていました。最も初期のストレージ・アプリケーションでは、主に1.062 Gbaud(800Mbit)の動作速度が使用されていました。その後、Fibre Channelのベンダーは、他の通信プロトコル(SCSI、ATM、SSA、Ethernet、InfiniBandなど)に対抗するために、一貫してFC-PH規格の発展と強化を図ってきました。 2001年中頃に、最初の2.134 Gbaud(2Gbps)FCコンポーネントの出荷が始まりました。このFCコンポーネントは、従来の1.062 Gbaud(800Mbit)規格と下位互換性があります。今日、ほとんどすべてのFCコンポーネントで2Gbps規格がサポートされます。ただし、IT投資の鈍化傾向のために、数多くの大規模サイトでは、従来の1Gbps設備を総取り替えするには至っていません。その結果、ベンダーや動作速度が混合した異種SAN環境が生成され、異なるベンダーの機器間の相互運用性がますます重視されています。 パフォーマンス競争に負けるのを嫌うFibre Channelベンダーは、1Gbps規格および2Gbps規格と下位互換性を持つ4GbpsのFC規格の制定に勤しんでいます。また、10Gbps Ethernet物理層を基盤とする10GbpsのFC規格も計画されています。10Gbps対応のトランシーバは初期導入コストが高いため、10Gbps規格は主に、10Gbps高速Fibre Channel上でSANセグメントを接続するためのバックボーンまたはISL(Interswitch Link)として使用される予定です。

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