SAS(Serial Attached SCSI)はUltra320の次世代SCSIテクノロジです。ポイント・ツー・ポイント型のシリアル交換アーキテクチャを利用したSASは、パラレルSCSIの現在の機能を大幅に拡張するものと期待されています。SASではSCSIの20年間の歴史を通じて企業環境に浸透した実証済みのミドルウェアやソフトウェアを利用するとともに、フォーム・ファクターの小さい強力な接続スキームを採用しています。そのため、既存のパラレルSCSIよりも高いパフォーマンスとスケーラビリティが実現されます。各種インタフェースの比較については、表1を参照してください。
ハイアベイラビリティ:
SATA(Serial ATA)と同様に、SAS(Serial
Attached SCSI)はポイント・ツー・ポイントの高速シリアル・テクノロジであり、当初は3Gビット/秒の速度で動作するように設計されました。一般的に、システム設計者は、帯域幅を共有するパラレル接続よりもポイント・ツー・ポイントのシリアル接続のほうが実際に信頼性が高いことを認識していました。そのため、ハイアベイラビリティ・システムにはポイント・ツー・ポイントのシリアル接続が採用される傾向が強くなっています。SAS(Serial
Attached SCSI)ベースのディスク・ドライブでは、デュアル・ポート方式の接続が可能になります。システム内のすべてのデバイスに対する冗長経路を必要とするハイアベイラビリティSAN(Storage
Area Network)では、デュアル・ポート接続が必須要件になります。
SCSIエキスパンダの導入:
SAS(Serial Attached SCSI)では、VLSI(Very
Large Scale Integration)性能の向上とともに極めて拡張性の高い接続スキームを導入し、「SCSIエキスパンダ」を使用して接続トポロジを拡張できるようにしています。SCSIエキスパンダには、従来のSCSIソフトウェアとの互換性を維持しながら、大規模な企業や組織に適した接続スキームを構成するファンアウト機能があります。SCSIエキスパンダの管理には、SMP(SCSI
Management Protocol)を使用します。SMPによって、物理層(PHY)の制御、ルーティング情報の定義、個々のSAS接続のための経路検索とリンク・ネゴシエーションが行われます。
SCSIエキスパンダの重要な機能は、複数の物理リンクを「ワイド」ポートに結合することによって帯域幅を集約することです。これらのワイド・ポートはインテリジェントスイッチとして機能します。つまり、1つの物理パスを通じてコマンドを個別に送信した後、別の物理パスを通じて応答を受け取ることができます。ユーザーは複数のリンクを同時に監視し、単一のSCSIトランザクションに関連するすべてのdwordを記録する必要があるため、SASのテストとデバッグの複雑性が増します。
SATAとの互換性:
SAS(Serial Attached SCSI)を通じて提供される最も革新的な新機能や特長の1つは、フォーム・ファクターに関してSASコネクタとSATA(Serial
ATA)間で互換性がサポートされることです。SATAドライブはSASコネクタに直接差し込むことができます。さらに、システムでサポートされている場合、そのSATAドライブはSATAデバイスとして透過的に機能します。そのため、ハイパフォーマンスとハイアベイラビリティを必要とする処理についてはSASドライブを使用し、メガバイトあたりのコストを抑える必要のあるストレージ・プラットフォームではSATAドライブを使用するといったシステム構成の配備が可能になります。
|