USB3.0テスト・ソリューション
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SDA 8Zi-Aシリーズ シリアル・データ・アナライザ

 SDA 8Zi-Aシリアル・データ・アナライザは、WaveMaster 8Ziシリーズ・オシロスコープをベースとし、 より多くのユニットインターバルの信号でアイパターンが描けるように、標準メモリ長が倍になっています。 また、最高3.125Gb/s、最高80のビット・パターンでトリガがかけられる高速シリアル・パターン・トリガが 標準搭載されています。アイパターンまたは他のコンプライアンス・テストで不合格となった信号を デバッグするのに、SDA 8Zi-Aシリーズは素早く問題の原因を分離することができます。 USB3.0のアプリケーションのためには、QualiPHY対応のUSB 3.0ソリューションと EyeDoctor IIシグナル・インテグリティ・ツールを搭載したSDA 813Zi-Aを推奨します。

自動コンプライアンス・テスト QualiPHY

QualiPHYは幅広い高速シリアル・バス規格のコンプライアンス・テストの実行で必要となる時間と労力を 最小化するように設計されています。QualiPHYは、シリアル・データのコンプライアンス・テストを実行 することができる最も直観的で効率的なツールです。メインメニューで規格とテスト・セットアップを選び、 Startボタンを押すだけでテストが開始できます。USB3.0のアプリケーションのためには、 QualiPHY対応USB 3.0ソフトウェア・オプションを推奨します。

PeRT3 テスト・システム

 PeRT3(Protocol-enabled Reciver and Transmitter Tolerance Tester)は 物理層テストとプロトコル・テストの間でスペースを埋め、新しくてより知的な能力をレシーバーと 送信機のパフォーマンス・テストに提供します。シリアル・データ・トランシーバと他の高速の シリアル・データ通信システムのテスト用件を満たすように設計されたレクロイの PeRT3 テスト・システムは新しい装置でありません、まったく新しいカテゴリの装置です。USB3.0の アプリケーションのためには、Eagle USB 3.0レシーバー・テスト・スイートを搭載したPeRT3 Eagle R6-8: 1-チャンネル・フロントエンドのPeRT3 Eagle R6-8プラットホームです。

Voyagerプロトコル・アナライザ

 Voyager M3iは、特にUSB3.0のアプリケーションのために設計されたレクロイの第6世代のUSBプロトコル検証プラットホームです。 高速シリアル・データ解析におけるレクロイの高度な専門技術を活かして作られたVoyagerは最高5Gb/sのデータ信号速度で USB 2.0と3.0の100%の正確なプロトコル捕獲を提供します。USB 3.0のためには、Voyager USB 3.0 Proアナライザ・システム かVoyager USB 3.0 Pro アナライザ/エキササイザ・システムを推奨します。

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USB3.0物理層解析 概要

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全二重通信

その前に、USB 3.0スーパースピードでUSB 2.0から大きく変わった通信方式を見てみようと思います。 USB 2.0では、1本のバスを上り下り双方向で切り替えて通信を行う半二重通信を行っていました。 しかしながら、半二重通信は上りと下りの信号の切り替えが大きなオーバーヘッドとなり、実効速度が損なわれて 5Gb/sの高速通信の恩恵を十分受けられなくなります。またバースト信号の最初の同期パターンで、 毎回クロックの同期を行う方式は、安定に通信を行うことが難しくなってしまいます。

そこでUSB 3.0スーパースピードは上りと下りそれぞれに専用の通信線を持つ全二重通信が採用されています。 この結果、USB 3.0スーパースピードの信号はUSB 2.0の信号のようにバースト状の信号ではなく連続的な信号となっています。

図1  USB 2.0の信号(上)とUSB 3.0スーパースピードの信号(下)

データの送受信が行われないアイドル状態でもアイドルの信号を使って通信が続けられています。これは受信器が常に同期を維持している状態といえますので、USB 2.0の信号のようにパケットの最初に同期パターンを持つ必要がありません。

ところが、5Gb/sもの高速信号を通信し続けるにはそれなりの電力を必要とします。従って、第1回で紹介したようにきめ細かなパワーマネジメントが行えるようになっているのです。第1回の図6「Link Training and Status State Machine」にも示されたU0、U1、U2、U3の4つの電力状態が定義され、不必要な通信は停止することができます。U0は通常の通信状態をいい、 U3はサスペンド状態で最も消費電力を低く抑えます。U1とU2はローパワー状態で、U1よりU2の方がより低消費電力にすることができます。

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LFPS

省電力モードになると通信を停止しているため、5Gbpsもの高速通信を直接開始するのは困難なので、 別の信号を必要とします。この信号をUSB 3.0スーパースピードでは、 Low Frequency Periodic Signaling(LFPS)と呼び、 信号は10〜50MHzのバースト状の信号です。Serial ATAにおけるOut Of Bound(OOB) 信号やPCI Expressのビーコン信号と同様の役目をしています。 従って、デバイスに電源が投入されると最初にLFPS信号が送出されます。 USB 3.0スーパースピードの通信開始では、前回で解説したように イコライザのトレーニングを行う必要があるため、TSEQシーケンスを使った通信が必要です。 しかしながらTSEQシーケンスに先立ち、デバイス間のリンクを確立するために、 LFPS信号によるハンドシェークが必要になり、このLFPSの試験をしなければなりません。 以下にLFPSの信号評価試験の結果を示していますが、上のバースト状の信号がLFPS信号です。

図2  LFPS信号評価試験の結果

受信器試験

従来の物理層試験においては、受信器端における信号品質が一定以上確保されていれば、 受信器は正しくデータを受け取ることができるという前提の下、送信器の信号品質と伝送路の損失評価が試験対象でした。 しかしながら、USB 3.0スーパースピードにおいては、受信端における信号品質は大きく損なわれており、 イコライザの助けを借りなければ正しくデータを受け取ることが難しくなります。 従って、イコライザの特性を勘案した試験方法を考案しなければなりません。

送信器信号品質の評価で、イコライザの特性を勘案するために規定されたリファレンス・ イコライザ特性をエミュレーションすることが求められていることはすでに説明したとおりです。 しかし、規定されているイコライザの特性はあくまでも送信器の性能を試験するためのものであり、 実際の受信器内部のイコライザ特性を規定するものではないことも解説しました。 特にUSB 3.0スーパースピードではリンクの確立時にイコライザの最適化を行うことになっているため、 この最適化調整を終えたイコライザの実特性を勘案した受信器の試験が必要と考えられました。

ジッタ・トレランス試験

受信器の試験を行うためには、通信業界で一般的に行われているジッタ・トレランス試験が妥当であると考え、これを採用することにしました。ジッタ・トレランス試験の考え方は、データ信号にコントロールされたジッタを付加して送り、 規定のエラーレイトが確保するには、そのジッタの量がどこまで大きくできるかを検証することです。 コントロールするのは付加するジッタの周波数と量です。受信器では、送られたデータ信号からPLLなどを使ったクロックリカバリ回路で再生したクロックを使ってデータの復号が行われます。

一般的にクロックリカバリ回路の追従特性は、ジッタの周波数が高くなるに従って低下するため、ジッタ・トレランス試験では 、ジッタの周波数が高くなるほどエラーレイトを確保できるジッタ量が少なくなります。図3は、USB 3.0スーパースピードの受信器ジッタ・トレランス試験の結果を示しています。緑の○印がエラーなし、赤の×印がエラーありです。黒い折れ線が要求仕様ですので、 黒い線と最も下にある赤い×との差がその周波数におけるジッタ・マージンとなります。この例では、10MHzのマージンが一番小さくなっているのが分かります。

図3  USB3.0スーパースピードの受信器ジッタ・トレランス試験の結果

試験に用いるデータは、すべてのパターンの組み合わせを効率的に試験するために、通信業界ではPRBS31(31段の疑似ランダム・シーケンス)パターンのデータを用います。しかしながら、USB 3.0スーパースピードではパターンの組み合わせは8b/10b変換で制限を受け、0または1が5個を超えて続くことがありませんので、PRBS31ほど長いパターンは必要ありませんが、疑似ランダム・シーケンスを使用するのが効率的です。USB 3.0スーパースピードでは、データのスクランブル用にLinear Feedback Shift Register (LFSR)が実装されていますが、そのブロック図が仕様書に図4のように示されています。

図4 Linear Feedback Shift Register(LFSR)のブロック図

このLFSRは、X16+X5+X4+X3+1で示されるPRBS16を発生するので、これをジッタ・トレランス試験に用い、 以下の表で示される周波数とジッタの量を付加して、30Gビットのデータを送ってもエラーがないことを確認しなければなりません。

表1 周波数とジッタの量

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ジッタ・トレランス試験の課題

(a) ループバック・モード

一般のジッタ・トレランス試験は、ジッタを付加したデータを試験対象の機器に送信して、 試験対象の機器が正しく受け取ったかどうかを判定しなければなりません。 ここで、シリアル・インターフェイスは、受信器と送信器の両方を持つトランシーバなので、 受信器で受けたデータをそのまま送信器から送り出すことができれば、外部の試験機器が送り出した データと送り返されてくるデータとを比較してエラーの判定ができます。 この受信器が受け取ったデータをそのまま送信器から送り返す機能をループバックと呼びます。図5を見てください。

図5 ループバック機能

受信器は、送られてきたデータ信号を同じデータ信号を基にClock Recovery Unit(CRU)で再生されたクロックの タイミングでバッファに書き込まれます。内部ロジックは自身のクロックのタイミングでバッファかデータを読み出して使いますが、 このデータを送信器にそのまま送り出して送信器から送り返します。受信器で正しくデータを受け取れないと、 その間違ったデータが送り返されてくるので、外部でエラーの判定ができるのです。

USB 3.0スーパースピードでは、第1回で紹介した「Link Training and Status State Machine」 (第1回の図6)で記載されているようにLoopbackのステートが用意されています。このLoopbackのステートにするには、 LFPSハンドシェークでリンクの確立を開始し、TSEQオーダーセットを送出してイコライザの最適化を行った後、 TS1およびTS2オーダーセットを使ってLoopabackステートに遷移させなければなりません。

図6 通信を開始してLoopbackに入るまでの信号

図6は、実際に通信を開始してLoopbackに入るまでの信号をおのおのの種類に応じて色分けして示したものです。 最初の赤い櫛(くし)状の信号がLFPS、水色の部分がTSEQ、非常に短い紫の部分はTS1とTS2で、 オレンジの部分がLoopbackに入っていることを示しています。このように、ジッタ・トレランス試験システムと USB 3.0スーパースピードの被試験機器との間で、USB 3.0スーパースピードのプロトコルに従った通信を行わなければならないので、 通信機器用のジッタ・トレランス試験機器であるBit Error Rate Tester(BERT)だけでは実施することができません。

(b) SKIPオーダーセット

送信側と受信側のクロックは独立しているので、クロック周波数に差異が生じます。またUSB 3.0スーパースピードではSpread Spectrum Clocking(SSC)を利用するために、大きな周波数の差異が生じる場合があります。 こうした周波数の差異を吸収するために送信器は定期的に SKIPオーダーセットを挿入します。これに対して受信器ではSKIPオーダーセットは無視されます。

図7 USB 3.0スーパースピードでは大きな周波数の差異が生じる場合がある

問題は、ループバックでデータを送り返す場合にも、送信器でSKIPオーダーセットが挿入されてしまうため、 外部でエラーの判定をする場合、図の左側で示したようにそのままビットごとにデータを比較すると SKIPオーダーセットをエラーと判定してしまいます。従って図の右側のように、被試験機器から送り返されてきたデータの中の SKIPオーダーセットを無視するメカニズムが必要になります。これも一般的なBERTだけでは実施することができない理由の1つです。

(c) Internal BERとExternal BER

USB 3.0スーパースピードのジッタ・トレランス試験は、Internal BERとExternal BERと呼ばれる2種類の方法が存在します。

図8  Internal BERとExternal BER

Internal BERは、開発の初期段階では盛んに用いられました。 理由は、DUTをループバックに設定する手順とSKIP機能に対応しなければならないにもかかわらず 通信機器用のBERTがそのまま流用できなかったために代替処理として使用されていました。しかしながら、 現在は1台でループバックの設定、SKIPオーダーセットの除去に対応する試験機器が登場しているので、External BER方式の試験が行われています。

まとめ

前回と今回の2回にわたりUSB 3.0スーパースピードの物理層について解説しましたが、 従来のUSB 2.0の利便性を継承しながら、5Gb/sもの高速伝送を実現するための工夫が多く取り入れられています。 また試験を行うに当たっては、こうした工夫を勘案した方法が取られているために理解が困難な部分がありますが、 その工夫の意味合いが理解できれば、計測結果にも高い知見が得られます。

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USB3.0物理層解析 概要

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