ジッタ・タイミング解析

レクロイのピコ秒ジッタ解析は以下の悩みを解決します。

  1. PLLの周波数ステップ応答動作解析
    PLLタイムベースの動作
  2. IC内部のクロストーク解析
  3. スペクトラム拡散クロックジッタ解析
  4. Setup/Holdタイムのジッタ解析
  5. VCOのジッタ原因究明
  6. 水晶発振器ジッタ解析ソリューション
  7. ロングターム・ジッタ
  8. クロック発振器の安定性
  9. 位相ノイズ測定
  10. CPUクロックの「サイクル・トゥ・サイクル・ジッタ」の計測

テレダイン・レクロイのジッタ解析システムは、高速化が著しいデジタル・システムのジッタ評価用オールインワン・システムです。特に、システム・クロックの高速化の伴い、ピコ秒オーダーでのジッタ評価・解析が必要とされる場合に最適です。
従来のジッタ評価システムは、波形観測用にデジタル・オシロスコープ、ジッタ解析用にタイム・インターバル・アナライザ、そして専用ソフトウエアを搭載したコンピュータが必要でした。テレダイン・レクロイのジッタ・タイミング・アナライザは、これら全ての機能が一台に凝縮されている為、システムを立ち上げる際の無駄な時間を省くことができます。さらに今までのシステムと違い、ジッタの評価・解析だけではなく、設計段階では予期することが難しいプロトタイプ・システムのジッタ発生の原因究明を支援し、高速デジタル・システムのハードウエア・デバッグにかかる時間を大幅に短縮することができます。

1.PLLの周波数ステップ応答動作解析

従来、PLL回路のステップ応答を調べるには、モジュレーション・ドメイン・アナライザが使われてきました。レクロイのジッタ・タイミング・アナライザを使えば時間軸上のクロック出力信号と同時に、その周波数変動波形を「ジッタ・トラック波形」で確認することができます。ジッタ・トラック波形を拡大することにより、詳細なステップ・レスポンスの様子を観測することも可能です。また、セトリング・タイムの測定や、周波数応答速度なども、カーソル測定やパラメータ演算機能を使って簡単に行うことができます。

ジッタ解析

 
PLL タイムベースの動作

PLL シンセサイズド・タイムベースの解析 

デジタルオシロスコープで使われているクロック・ジェネレータは、PLL 周波数シンセサイザを利用した良い例です。 テレダイン・レクロイのオシロスコープでは、正確な10MHz の基準クロックから、PLL 回路を使って400MHz 、500MHz まで周波数を上げています。 このサンプリング・クロックはより遅いサンプル速度を作り出すためにカウント・ダウンされます。下図 に典型的なPLL 周波数逓倍回路のブロックダイヤグラムを示します。

ジッタ解析

基本的なファンクション・テストに加えて、エンジニアはPLL 回路の入力周波数の変化に対するダイナミック・レスポンスの測定を行います。これは、レクロイ社のオシロスコープにとって非常に重要です。テレダイン・レクロイのオシロスコープには、「外部クロック&トリガ・オプション」があり、これを使えば、外部の高安定度の10MHz リファレンス・クロックを使ってスコープ内部のタイムベースの制御ができるからです。

2.IC内部のクロストーク解析

高速データ処理化が進むとLSIなどのデバイス内部におけるクロストークが無視出来なくなります。
ここでは、40MHzクロックを基準に動作している回路のジッタの原因追求をLSI内部にまで追及して解析した例を紹介します。
LSIのクロック出力ジッタが大きく現れたため、40MHzクロックをCHで捕らえ、トレースAでCH1信号の各周期毎のジッタを解析(JitterTrack)、
そしてトレースCで各周期毎の変動傾向から周波数分析(JitterTrack+FFT)を行い、ジッタを多角的に解析しました。
そうすると、(a)のように、ジッタ周波数48.1MHzをはじめとする多くのジッタが確認できました。
ここで、LSI内部の回路配置や信号ライン配置を変更して互いの干渉を避けた結果、
(b)の様に48.1MHzのジッタ周波数成分が16dBも改善され、他のジッタ周波数成分も大きく改善された事が実証されました。

(a) LSI内部のクロストークの影響を受けた場合のジッタ解析結果

ジッタ解析

(b) LSI内部の回路及び配線を変更してクロストークを避けた場合

ジッタ解析

3.スペクトラム拡散クロックジッタ解析

高速デジタル・システムのEMI対策として、SSC(Spread Spectrum Clock: スペクトラム拡散クロック)技術が最近注目を浴びています。しかし、数100MHzzのSSC信号と位相変調成分とを分離し、同時に観測することには非常に困難でした。レクロイのジッタ・タイミング・アナライザでは、その測定が可能です。最大16MWのロングメモリ、最高8GS/sの高速サンプリング・レートという世界最高レベルの波形捕捉能力に加え、強力なジッタ測定に特化した自動測定パラメータ群とジッタ・トラック機能がこの測定を可能にしたのです。

ジッタ解析

4.Setup/Holdタイムのジッタ解析

デジタル・オシロスコープでの「セットアップ・タイム」、「ホールド・タイム」の測定とは数10ns程度の非常に短いタイム・ウィンドウ内で波形エッジを観測しながら測定するのが常でした。レクロイのジッタ・タイミング・アナライザの超ロングメモリと高速サンプリング・レートとのコンビネーションは、数msという長いタイム・ウィンドウにわたって、全ての波形エッジでこれらの測定が可能になりました。ジッタ・トラック波形とヒストグラム表示により、ジッタがどこで発生し、どの程度ばらついているのか一度に把握することができます。

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5.VCOのジッタ原因究明

 ジッタ・タイミング・アナライザは、クロック信号発生回路と共に、その回路に供給されているアナログ電圧波形等を、時間相関が完全にとれた形で捕捉し表示することができます。上の例ではVCOの振幅変動、ジッタ・トラック波形の変動、そしてVCOへの供給電圧波形の変動に相関関係が認められ、結局VCOのトラブルの根本原因が、電源電圧の変動にあったことがわかりました。このような問題解決手法は、レクロイのジッタ・タイミング・アナライザでしかできません。

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  1. 水晶発振器ジッタ解析ソリューション
  2. ロングターム・ジッタ
  3. クロック発振器の安定性
  4. 位相ノイズ測定
  5. CPUクロックの「サイクル・トゥ・サイクル・ジッタ」の計測

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関連資料:

LeCroy Jitter Resources
【NO.LAB 1016】オシロスコープのウィルス対策 PDF File 190K
【NO.LAB 1017】ウィルス対策ソフトのオシロスコープへの影響 PDF File 90K
【NO.LAB 734】 アイパターン解析ツール PDF File 60K
【NO.LAB 735】 スペクトル拡散クロック PDF File 30K
【NO.LAB 736】 PLLタイムベースの動作 PDF File 60K
【NO.LAB 737】 CPUクロックの「サイクル トゥ サイクル・ジッタ」の計測 PDF File 60K
【NO.LAB 738】SSC測定 PDF File 40K
【NO.LAB 744】 位相ノイズ測定 PDF File 120K
【NO.LAB 745】ジッタの周波数解析 PDF File 40K
【NO.LAB 750A】 PLL回路のループ・バンド幅 PDF File 170K
【NO.LAB 751】 累積ジッタ PDF File 60K
【NO.LAB 754】 ジッタ・ソースの分離 PDF File 50K
【NO.LAB 1005】 クロック・オシレータの基礎 PDF File 40K
【NO.LAB 1006】 クロック発振器の安定性 PDF File 70K
【NO.LAB 1007】 PLL回路の基礎 PDF File 50K
シリアル・データ信号のジッタの測定 PDF File 1.3MB
エレクトロニクス アップデイト 【2004年9月号】
簡便な操作で高精度のジッタ測定
広範なアルゴリズムに対応したジッタ・ウィザード
PDF File 720KB
エレクトロニクス アップデイト 【2003年10月号】
DSOによるソリューション<高速シリアル通信におけるジッタの基礎知識>
PDF File 400K
エレクトロニクス アップデイト 【2003年5月号】
SDAシリーズによるDjとRjの分離解析
高速シリアル・インタフェースにおける重要な課題
PDF File 430K
エレクトロニクス アップデイト 【2003年4月号】
レクロイのジッタ測定精度
統計学を基礎とした評価法
PDF File 850K

推奨:

モデル名

帯域

最高サンプリング
速度
最大メモリ長
SDAシリーズ 3〜6GHz 10〜20GS/s 100Mワード
WaveMasterシリーズ 3〜6GHz 10〜20GS/s 100Mワード
WavePro7000シリーズ 1〜3GHz 10〜20GS/s 48Mワード
WaveRunner6000Aシリーズ 350MHz〜2GHz 2.5〜10GS/s 24Mワード
WaveRunnerXiシリーズ 400〜600MHz 5〜10GS/s 25Mワード

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