ジッタ・タイミング解析パッケージ JTA2
回転体への応用

回転体ジッタ

回転体は、大変身近なところで使われています。電気モーター、エンジン、ハードディスク、DVD、光ディスク、CD、複写機、プリンタ、デジタルカメラ、ハンディカム、NC制御、洗濯機、掃除機、考えれば際限がなく出てきます。ジッタ・タイミング解析パッケージJTA2は、その中でも特に回転を微妙に制御したり、回転の安定性(ワウフラッタ)が性能に大きく影響する製品の開発に大きく貢献します。

測定原理

レクロイのX-Stream デジタル・オシロスコープ(Windowsベース)は、ロングメモリと高速サンプリングを両立したユニークな製品です。ロングメモリを高速で演算することにより、従来TIA(タイム・インターバル・アナライザ)やモジュレーション・アナライザ、サーボ・アナライザなどで行っていた回転ムラや、制御への応答を時間軸波形から演算します。また、デジタル・オシロスコープで測定することにより、ヒストグラムやモジュレーション結果と時間波形の関連が簡単にわかります。(低周波数の場合はWaveRunner6000Aシリーズを推奨)

回転体ジッタ

JTA2のトラックの原理図:
波形の各周期の時間幅を測定し、電圧軸方向に変換してトラック波形にします。


 

実測結果

下図は、モーターの回転速度をカーソル部分で変化させた例です。周期変化部分のトラック波形の立ち上がり時間を測定すれば、モーターの性能がわかります。さらに、トラック波形を微分すれば、その時の加速度を測定することができます。値はカーソルやパラメータで簡単に読むことができます。
 

 回転体ジッタ

モーターのエンコーダ出力(上)と、各周期のトラック波形(下)モーターの回転変化がよくわかります。

回転体ジッタ

ハードディスクやDVDなどに使われるモーターのように、一定速度で回転することが求められる製品の場合は、ロングメモリを使って一定の信号を捕捉し、その周期のトラック波形を測定することによりワウフラッタを求めます。(2番目の波形)この波形により、周期の変化が大きなところがわかります。全体の周期のばらつきは、ヒストグラムでわかります。(3番目の波形)これによると、回転ムラに4つのピークがあることがわかります。もし、回転の変化に一定の周期性があれば、トラック波形をFFTすることにより周波数のピークとして見ることができます。


回転体ジッタ

回転のパルス制御や突入時の回転変動の解析には、ロングメモリと周波数トラックが便利です。回転数が変化する様子が一目でわかります。また、ロータリーエンコーダーなどを使って、一回転に複数のパルスが発生する場合には、リスケール演算を使って定数で割り算を行うことにより回転数に変換します。

合否判定

上記で説明した、トラック波形、ヒストグラムやそのパラメータを使って合否判定ができます。もし、単純に製品の良否を判定するのであれば、Visual Basicィを使ってメニューをカスタマイズし、合否表示を行うことも可能です。

まとめ

このように、時間軸波形から高速でモジュレーションやジッタ成分を分離し、見やすい形で表示することができます。また、捕捉波形の拡大部分(最大4箇所を同時拡大)だけの解析も可能なので、気になる部分だけのヒストグラムやモジュレーションを取ることも可能です。

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